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大人も進路で悩んでいる? 製薬のプロジェクトマネジャーのお仕事(3)

げんさん (35歳)

新卒で日系の中堅製薬企業に入社された後、外資系の製薬業界に転職され、プロジェクトマネジャーとして働いていらっしゃいます。
本業のかたわら、NPO法人アスデッサン (このメディアの運営団体) にも正会員として関わられています。


大人も進路で悩んでいる?

──現時点で、ご自身のキャリアや人生を考えたときに、どういう人から話を聞きたいですか?

今まさに、自分が進もうと思っている道へ実際に進んだ人に、話を聞いてもらったりしています。

今は外資系の大企業で働いていて、いろんな経験をさせてもらっています。薬をつくるタネになる化合物もたくさんありますし、最新の技術・設備を使って、良い薬を開発できています。

一方でたくさんの人が働く中で、自分が個人として貢献できていることなんだろうと思うと、すごく小さくて。どんなに優秀な人であっても、その人がある時いなくなったとしても、プロジェクトはそのまま進むんですよね。

会社としては、そうあるべきだとは思うんですけど、そういうのを目にすると、自分が世の中に与えている価値はなんだろうって思うことが結構あって。最近は自分の次のキャリアとして、ベンチャー企業みたいな小さいところを考えています。

世の中には、「希少疾患」と呼ばれる、患者さんが少なくて製薬企業も利益が出ないから目を向けていない、でも患者さんは薬がなくて困っているような病気が結構あって。そういう分野で薬の開発に取り組んでいるベンチャー企業もあるんですね。

将来的にはそういう分野で働きたいなと思っていて、知り合いに同じような考えで大企業からベンチャーに移った人がいるので、その人に話を聞いて、どういうふうにその道を歩んでいったらいいか、という相談をしています。

なので、まさしく中高生が社会人とつながってやってるようなことを、自分でもやっていることになります。

──大人になっても進路の悩みは尽きないということですね。

そうですね。それはほんとうに自分でも驚きますね。自分が子供のときは、親が将来のキャリアとか、転職とか考えているように思えなかったですけど、でもそんなことは実際はなくて。

働いていても自分の働き方に悩みはあって、それを変えたいと思っている人もいるだろうし、今の会社で新しいことをしたいと考えている人もいると思います。やっぱり社会人になっても、中高生と同じように自分の将来とか進路については悩んでるかなと思います。

──製薬業界以外の仕事をしたいと考えることはないんですか?

それは全然考えないですね。やっぱり薬を作る仕事は好きで。薬を作ることは、絶対価値があると思ってるので、薬を作る仕事はこれからも続けたいなと思ってますね。

地元に残るか、都会に行くか?

──中高生にとって地元から離れるか、離れないか、大きな分岐点になると思いますが、そのあたりのことで、中高生に何かアドバイスはありますか。

良い悪いはないと思うんですけど、例えば私のように製薬企業で働きたいなって思ったら地方では働けないんですね。地方に製薬企業がないので、基本的には東京か大阪に出ていかないと。

あとは地方にいて、製薬企業で働きたい、薬をつくりたいと思っている仲間はなかなか見つからないと思うので。そういった意味でも地方にいたままだと、なかなか難しいのかなと思います。

私も大学進学のタイミングで鳥取から出て、岡山に行きましたが、その時はいきなり大阪とか東京に行く勇気がなかったので、中途半端に岡山に行って。就職のタイミングでは大阪の企業に入って。そこから転職のタイミングで東京に行ったのでだんだん東京に向かってきたわけですが。

いきなり踏ん切りが付かなかったら少しずつでもいいですし、やっぱり違うなと思ったら変えてもいいですし。でも、その判断もずっと鳥取にいたらできなかったと思いますので、まずは地元を出るのも良いのかなと思います。

今はインターネットも発達して、地方だから情報にアクセスできないとか、東京の社会人と話ができないということもないので。いきなり住んでる場所を変えなくても、例えばオンラインで話を聞くなら、明日でもできることだと思うので、まずはそこから始めてみるのもアリだと思います。

──ベンチャー企業で働くとしても、都市部にいないと難しいですか?

ベンチャー企業と言っても、やっぱり製薬のベンチャーってむちゃくちゃ大きいんですよね。研究設備も必要になりますし。なので、一般的な「ベンチャー」のイメージとは違うと思います。製薬ベンチャーの場合、オフィスは東京が基本ですね。

──研究開発となるとリモートワークは難しいですか?

研究開発も、「基礎研究」と「臨床研究」に分かれていて。「基礎研究」は実験設備がないとできないのでリモートワークは難しいです。

一方で、「臨床研究」の場合、パソコンがあれば仕事自体はできます。プロトコルって言われる治験のデザインを考えたり、データを分析したりという仕事が主なので、基本的にはリモートもできますね。

私も2020年2月からリモートワークで、先日ようやく出社したという感で。一年半ぐらいはずっとオフィスに行ってなかったです。

──今後は、もしかしたら地方に留まったまま製薬を仕事にする人も出てくるかもしれないということでしょうか

確かに出てくると思います。実際に、私の同僚でも都心から千葉に移った人もいるので、できるとは思います。

一方で、やっぱりそういうことができる人って、しばらくキャリアを積んで、もうオフィスに行かなくても仕事ができる人だと思います。新卒で入った人がいきなり地方でリモートワークで業務を学んで、同じように仕事ができるかっていうと、難しいかもしれません。

──最後に中高生の方にメッセージがあればお願いします。

やっぱり行動に移さないと何も変わらないのかなって思うので。特に地方の人とか、まだ何も進路について考えてない人は、アスデッサンを通して社会人とつながってみる、ということをやってもらいたいなと思います。そこで一度つながれば、その先はドンドン進んでいくと思うので。

一歩目を踏み出すのは勇気がいることだと思いますけど、是非まずは行動してください、ということを伝えたいなと思います。

いかがでしたでしょうか。もっと製薬業界、プロジェクトマネジャーについて詳しいお話が聞きたいという中高生の方がいましたら、ぜひご連絡ください。(ご連絡はこちらから→https://www.asdessin.org/contact)

【運営団体 NPO法人アスデッサンについて】
一人ひとりが自分らしい未来を描ける社会を目指し、2011年より活動する教育系NPO法人です。
多様な大人との関わりを通じて、全ての中高生の可能性を拓くことをミッションに掲げ、中学校・高校への社会人講師派遣による出張授業や、多様な大人の生き方に出会えるWebサービスの運営など、キャリア教育支援活動に取り組んでいます。

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