知られざるゲーム業界への入り 口! 3Dモデラーのお仕事(2)
まりたんさん (26歳)
美術系の短大卒業後、3Dキャラクターモデラーとして、ゲームの開発に携わられています。
この記事では「ロルモRadio」のインタビューをもとに編集・要約した内容を掲載しています。
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なんであなたは3Dモデラーに?
──ここまでは3Dモデラーが実際何をやっているかという話を聞いてきましたが、次にどうやったらその仕事に就けるのかという話を聞いていきたいなと思います。そもそもまりたんが3Dモデラーになりたいと思ったのは、いつ?
3Dモデラーになりたいと思ったのは短大に入った後ですね。本当は油絵描きたくて短大に行ってたんですよ。絵描きになりたかったんですね、当時は。でも、やっぱり絵描き仕事ないですから。例えば2Dのデザイナーとかになりたくても、やっぱり狭き門で。難しいんですね。私の画力というのを考えた時に、新卒で仕事をできるかっていったら、多分できないと思ったんですよ。
──結構現実的ですね。
就職のことを考えて、でもやっぱり芸術系の学校出たからには、デザイン関係とか、スキルを活かした仕事に就かないと意味がないと思っていて。かつ、自分の好きなものに関わる仕事はないかと思ったときに、
「ゲームだよ」
と思って。私もともとゲーム好きで、しかもデッサンとかもたくさんやってきたので。3Dモデルって意外とデッサン力が必要なんです。また、3Dモデラーが単純に人手不足だという話も聞いていて、これなら、入り込めるんじゃないかって思ったんですね。あと、3Dモデルを覚えれば、絵を描くのにも活かせるんじゃないかと思って。
3Dモデラーになるには?
──3Dの技術っていうのは、入社してから身に付けた?それとも短大時代に?
私の場合は入社してからです。入社時に3Dの技術が必要かというと、そうでもないですね、新卒採用に限っては。それより、デッサン力とか。デッサン力で何を見ているかというと、モチーフに対する観察力とか、立体の把握能力とか。基礎的なところが大事なんですよ。
──そういう能力を測るテストがある?
テストはないんですけど。デザイナー関連全部そうなんですけど、仕事に就くには「ポートフォリオ」っていう、自分のスキルがどういうものか示すための作品集が必要で。そこには、デッサンは絶対入れてね、って言われることが多いです。それで、この人の基礎力はどんなもんだろうかっていうのを判断してると思いますよ。
──ポートフォリオ見せるって恥ずかしくないんですか?
・・・はい。「ちょっと恥ずかしいなあ」って気持ちと、「まあこんだけできるから。見てくれよ」みたいな気持ちと、どっちもですね。やっぱり見せる人たちは自分の同じ仕事の大先輩ですからね。「下手だなー」って思われてるのかなとか、ちょっと恥ずかしい気持ちもあるんですけど。でも売り込まないといけないので。
「この作品ではこういうところをがんばりました」とか、「ここがよくできた」とか、売り込み方はいろいろあります。
──デザイン系の新卒だと、そういう感じになるんですね。
そうなんですよ。正直ソフトウェアのスキルは入社した後からでも習得できるので。基礎を教える方が難しいです。「よく見て」としか言えなくなります。
新卒というか、実はアルバイトなんですけどね、私は。
──デザイナー業界ではそのパターンが結構多いと聞きます。
全然ありじゃないですか。みんながよく知ってるゲーム会社に新卒で入ろうとすると、すごい大変なんですよ。実は最初に入った会社から転職してるので2社目なんですけど、私も新卒当時の能力だったら、今の会社には多分採用されてないですね。
──狭き門のイメージがありますが、そうやって入り込める方法があるんですね。
そうですね。いろんな入り方がありますね。インターンでそのまま残る人とかもいると思いますし。入り込んでしまった方が個人的にはいいと思います。
ゲーム業界のキャリア
──なるほど。入った後のキャリアとしては、どんな選択肢があるのでしょう。
基本的に、最初は1作業者なんですけど、それがキャリアを積んでいくと自分以外の人の作業も見ることになります。部下とか後輩ができて、自分の作業もしつつ、他の人のチェックもするとか。
──今までの話だと、すごい専門家がたくさんいて、モデラーのリーダーポジションに上がって行くところまでは分かるんですが、そこからプランナーみたいな道に進むキャリアはあったりしますか?
そういう方向に関心がある人だと、なる人もいると思いますね。逆に3Dのデザイナー出身だけどもデザイナーをやめてしまって、マネジャーの立場になる人もいますね。
──完全に人をまとめる専門になるということですね。
あとは2Dも3Dもどっちも見るリーダーとか、あとはモーションとかエフェクトとか、関連するもの全部を統括するアートディレクターという道もあります。そのゲームのアート部門の責任者ですね。この人がアート関連のトップの人だと思いますね。絵作りに責任を持つ人というか。
──そこの縦割りみたいなものは、一般的な他の会社と似通っている?
多分そんなに大きくはずれてないんじゃないかなと。
──その中で評価はどうやってされるのでしょうか。
このレベルの人だったら、こういうことをしてほしい / できて欲しい、というような、職務レベルが決まっています。デザイナーだと、一番最初は自分の仕事をちゃんとやれるっていうこと。レベル2になると、自分の作業プラス、自分以外の部下や後輩の作業もちゃんと見れること。あとは社内で情報共有をしているとか。
──他のチームとかメンバーに良い影響を与えたかということですか
そうです。技術共有をしているかとか、組織のスキルアップに貢献しているかとか、そういう項目が出てきますね。
──そんな感じでだんだんレベルが上がっていき、それに応じて給料も上がる?
そうですね。
──「君はレベル1はちゃんとできてるね」みたいな評価は、だれがするんですか?
評価は上司がするので、私の場合はキャラクターモデル班のリーダーの方が、まず評価をしてくれます。その評価をもって、上司が「この人はこうこうがんばってましたよ」とか、もっと上の人に伝えてくれてるんですけど。どういう判断で上がったりするのかっていうのは全くわからないですね。
──そこはブラックボックスなんですね。
そうなんですよ。例えばクライアントさんからの評判が良かったとかもプラスの評価になるんですけど。でも、そんなのあんまり分かんないじゃないんですか。だから、どうやって上がっていくのかは、わからないです。
──ゲーム業界は、お給料はどうなんですか?
会社によるんじゃないですか(笑)。儲かってる業界、例えば今だとスマートフォンゲームが凄い人気ですよね。そういうところの方が給料は高めです。
──作ってるゲームがすごく売れると、一時的にボーナスがもらえるとか?
あります。成功報酬というか、作ったゲームが売れたらその分もらえるので。
──なるほど。ちょっと夢がありますね。いい物を作ってやろうみたいなモチベーションも高くやれそう。それはちょっと他の業界にはないかもしれない。
そうですね。やっぱりゲームが売れると、その次のボーナスがすごい金額が上がったりとか、そういうところはありますね。
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