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外資系企業で働くってどう? 製薬のプロジェクトマネジャーのお仕事(2)

げんさん (35歳)

新卒で日系の中堅製薬企業に入社された後、外資系の製薬業界に転職され、プロジェクトマネジャーとして働いていらっしゃいます。
本業のかたわら、NPO法人アスデッサン (このメディアの運営団体) にも正会員として関わられています。


外資系と日系の違い

──その後、今お勤めの外資系企業に転職されたとのことで、一般的には日系と外資系で働き方や文化が大きく異なるというイメージがありますけれども、製薬業界でも同じでしたか?

やっぱり業務内容は薬機法に基づいてますけど、組織の体制とかカルチャーは全然違いました。今、「メンバーシップ型」と「ジョブ型」という議論がされていると思うんですけど、まさしくそんな感じがあって。

日系企業に入ったときは、「この会社でずっと働いて勤めあげる」「会社のために働く」という感覚でした。初めはオペレーションの業務、その後はクリニカルサイエンスというより科学的な業務をする仕事に移って、あとは厚生労働省とやりとりするような仕事もしました。会社に言われるままに、仕事内容が変わっていったということです。あとは、上司部下の関係で、業務外も含めてしっかり教育してもらう、というところが日系企業のスタイルでしたね。

外資の会社に入ってみて、やっぱり「ジョブ型」というか、入るときに「あなたの仕事はプロジェクトマネジャーです」という契約書を結んで、基本的にその業務から変わることはありません。「会社のため」というより、「契約書上で任された仕事をする」「自分のプロジェクトを成功させる」ことに専念しています。

プロジェクト制っていう働き方をしているので、ぶっちゃけ自分の上司と関わることはあんまりなくて、むしろ自分が担当するプロジェクトチームと常にいっしょに働いてるっていう感じですね。

──どちらのほうが働きやすいですか?

どっちが良い・悪いはなくて、個人の価値観や、どういう働き方をしたいかによると思いますけど、個人的に合っていたのはやっぱり外資ですね。

「上司と部下といっしょに仕事をして、成果を出して、みんなでそれを喜び合いたい」とか、「飲み会とかの、人とのつながりを大事にしたい」ということなら、絶対日系企業がいいと思いますし。そうじゃなくて、「自分の成長にやりがいを感じる」「どんどん自分の責任の範囲を拡げたい」ということなら外資系の働き方がいいのかなと思います。

──外資系に転職されたのは、そういう働き方を期待していたことも理由にあるんですか?

そうですね、まさしく。もともといた会社が嫌になったとかは、全然なくて。むしろプロジェクトも大きくなって、楽しい時だったんですけど。これから後、職業人生が四十年、五十年と続く中で、この働き方だけじゃなくて、外資系企業の働き方とか、もっと大きな製薬企業の最前線の働き方、薬の開発の仕方はどうなんだろうってのもあって。そんな動機で転職を考えました。

キャリアが思い通りにならなくても大丈夫

──少し話を過去に戻して、学生時代のお話をお聞きしたいと思います。学生の頃は医者になりたかったとのことでしたが、今振り返ってみて当時の「こういうふうに働けたらいいな」とか、「こういうことができたらいいな」、あるいは好きだったことが、今の仕事とリンクしていると思われますか?

リンクという意味では、1つのことに留まらずに複数やった方がいいというところはありますね。中高ではずっとサッカーをしていて、高校ではインターハイにも出場して、勉強とスポーツを両方やったっていう気持ちがあります。それは社会人になってからも同じで、仕事だけじゃなくて、NPOの活動をしたり、学校に通ったりしています。

製薬企業に入ったんですけど、やっぱり受け入れてるわけではなくて、コンプレックスとかがあったりとかして。医者だったらどんな人生だったかなって思うこともありますけど。でも、製薬企業でずっとやってきて、薬を世の中に届けていくと、やっぱり製薬の薬を開発する仕事をやっていてよかったなって思うので。

ただ今の中高生も一番初めのキャリアが自分の思い通りに行かないことはあって。そもそも会社なんかも関係なくて、私も1社目は中規模の企業でしたけど、その後は外資の大企業に入りましたし、会社は変えられますし、あとは医者と医者じゃない職業のような、全然違う領域ではなかなか取り戻せないとしても、やっぱり縁があって進んだその領域でがんばって成果を出すと愛着もわきますし、その人生を選んでよかったなって思えるようになるので。

やっぱり、1回だめだったからそれで全部終わりということはなくて、その後の頑張りしたいかなと思います。

──学生時代に医者になろうと思ったきっかけはあるんですか?

私の高校が医・歯・薬専門コースで、医者の子どもみたいな人がいっぱいいて、そのクラスは基本的には医学部を目指すみたいな感じだったんですね。私もなにも考えずに、そんなもんかと思って医学部をめざしていました。そこはもう少し進路について考えたらよかったなと思いますけどね。

──その高校に入るときは医者になりたいわけではなかった?

自分が受けられる中で一番難しい学科がそこだったというだけですね。

──中高生だと、周りの環境に影響されますよね。みんなが大学進学するから自分もなんとなく、みたいな。

まさしくそうですよね。当時自分が相談できる相手って、両親はいましたけど普通のサラリーマンだったので、アドバイスをもらったことないですし、あとは学校の先生くらいで。なかなか実社会での経験がある人のアドバイスをもらえなくて。

周りに流されて進路を決めていって、ほんとに自分の将来を考えるのって大学に入って就職活動するときですよね。業界分析とか自己分析をして、自分がやりたい仕事をようやくそのときに考えたように思うので。

幸い、薬学部だと製薬企業はもちろん、他の理系の企業とか、もちろん文系の会社にも入れるので、その時に考えても間に合いました。多くの学部でもそれは同じで、「この学部だと、これ以外の道に行けない」っていうのは、そんなにないと思います。

自分からつながりを作ろう

──もし当時の自分にアドバイスできるとしたら、どういう言葉をかけてあげたいですか?

積極的に自分からつながっていくってのは大事だと思っていて。私は鳥取県出身ですごい田舎なんですね。当時まだインターネットもそれほど発達してなかったので、ほんとに周りの手が届くところしか情報をとれなくて、そんな状況で自分の進路も考えてきました。

当時の自分に声をかけるとしたら、東京とは言わなくても大阪とかに出て行って、 自分の出身地以外のところの状況を見てみたらいい、ということですね。最終的に私も東京に出てきましたけど。地方の国立大学を卒業して大阪で就職して、最終的に東京に出てきたという感じでしたので、いきなり東京に行けば一番近道だったなと、振り返って思いますし。

機会があれば社会人と積極的につながって、そこでいろんなアドバイスをもらうというのは、やっぱり近道かなと思います。自分の場合、社会人とつながったのは就職活動でOB訪問したときくらいで、それまでは全くつながりがなかったので。

──アスデッサンは社会人と中高生をつなげる団体ですが、松本さんが関わっているのは、そういった過去も背景にあるんでしょうか。

そうですね。この活動を見たときに単純に良い活動だと思いました。中高生は社会人となかなか接点がないし、一方で、社会人は中高生に教えるのは、けっこう好きだと思うんですよね。人に教えられるような専門的なスキルがなくても、自分のこれまで歩んだ道は紹介できるし、アドバイスは誰でもできると思うので。双方のやりたいことをつなぐ、非常に意味がある活動だと思ってますね。

やっぱりその道に進んだ人のアドバイスをもらうのが、一番早くって。就職活動・社会人を経験した人に何か相談するのはきっとプラスになると思います。もちろん自分でいろいろ考えて悩むことも大事ですけれども。

【運営団体 NPO法人アスデッサンについて】
一人ひとりが自分らしい未来を描ける社会を目指し、2011年より活動する教育系NPO法人です。
多様な大人との関わりを通じて、全ての中高生の可能性を拓くことをミッションに掲げ、中学校・高校への社会人講師派遣による出張授業や、多様な大人の生き方に出会えるWebサービスの運営など、キャリア教育支援活動に取り組んでいます。

公式HP: https://www.asdessin.org
公式Twitter:https://twitter.com/NPO_Asdessin
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日本中の大人と話そう!中高生向けオンライン授業「ミライドアプロジェクト」 https://www.asdessin.org/miraidoor

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